治療抵抗性高血圧という病気をご存じでしょうか?
日本国内では、約2450万人の方が高血圧治療を受けているといわれています。しかしながら、その中には、生活習慣を改善し適切に服薬を続けているにもかかわらず、なかなか血圧が下がらない、と悩まれている方も多いのではないでしょうか。実は、高血圧治療を受けているのに目標値まで血圧が下がらない「治療抵抗性高血圧」という病気が存在します。
このページでは、「治療抵抗性高血圧」に関する情報を分かりやすく解説します。
生活習慣を改善して服薬を続けているのに血圧が下がらない「治療抵抗性高血圧」の場合は、高血圧専門医による適切な治療を受けて、血圧をコントロールすることが重要です。
高血圧治療を受けても血圧が下がらないとお悩みの方の中には、「治療を続けても意味がない」「血圧が下がらないのは体質だから仕方ない」と考えてしまっている方もいるかもしれません。しかし、高血圧を放置すると、脳卒中、心筋梗塞、心不全、腎不全などの様々な病気のリスクが高まると指摘されています。
5年後、10年後、あるいは20年後――そして、明日のご自身の生活を想像してみてください。ご自身だけでなくご家族の将来の生活を守るためにも、高血圧に対する正確な知識を身に付け、適切な血圧管理を行うためのポイントを解説します。
「治療抵抗性高血圧」とは?
高血圧治療を受けている方のなかには、複数の降圧薬を飲んでも、うまく血圧がコントロールできない方もいらっしゃいます。このような方のうち、利尿剤を含む3種類以上の降圧薬を飲んでいるにもかかわらず、診察室血圧が「130 / 80mmHg未満」あるいは家庭血圧が「125 / 75mmHg未満」まで血圧が下がらない場合が、「治療抵抗性高血圧」と定義されています。治療抵抗性高血圧は、一般の高血圧よりも脳心血管疾患(脳卒中、心筋梗塞等)のリスクが高いと報告※されていますが、多くの場合自覚症状はありません。
※Kario, et al. Hypertension. 2025 Dec;82(12):2241-2251.)
「診察室血圧」、「家庭血圧」、「ABPM(24時間自由行動下血圧)」とは?
血圧は測定する場所や測定方法によって、呼び方が異なります。
【診察室血圧】病院・クリニックなどの医療機関で測定した血圧
【家庭血圧】自宅など医療機関以外で測定した血圧。1日2回(起床時と就寝前)測定
【ABPM(24時間自由行動下血圧)】日常生活を送りながら就寝中も含め1日中自動血圧計を装着して、一定の間隔(通常20‐30分おき)をおいて継続的に測定された血圧
※家庭血圧やABPMをまとめて、診察室外血圧と呼ぶこともあります。

血圧は1日のなかで数値が変動します。高血圧患者さんであっても測定する場所や時間帯によっては、高血圧の基準値よりも血圧が下回ることもあれば、むしろ病院で測るより高くなっていることもあります。
病院で測った診察室血圧はその瞬間の血圧しか把握することができないので、高血圧症の全体像をつかむことができません。診察室外血圧を、時間をおいて1日に複数回計測することで、血圧の変動を確認することができます。
【参考文献】日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会編:「高血圧管理・治療ガイドライン2025」ライフサイエンス出版
【参考情報】日本高血圧学会「一般の方」ページ (生活習慣、高血圧専門医、出版物など)
【監修】苅尾七臣(かりお・かずおみ)先生
自治医科大学内科学講座循環器内科学部門教授
