ヒトの大血管は局所的にらせん様であるとの報告があります

ヒトの大血管は比較的まっすぐに伸びているところもあれば、場所によってはらせん様の箇所もあると考えられています。^1、2（図1参照）

Swirling Flowとは？

下図はSwirling Flowをイメージした大動脈弓動画です。（下記動画参照）

Wall Shear Stressとは？

内皮細胞を血流の方向に歪ませる力であり、内皮上の接線方向にかかる応力のことを言います。
Wall Shear Stressが高いとは、この一定方向に加わる力が大きいという事となります。
因みに血管壁にはもう一つ垂直方向に働く応力もあり、内皮細胞や平滑筋細胞を引き延ばす力となります。（図2参照）

Wall Shear Stress：血液の粘性と血流の速度勾配に比例する物理力

図2イメージ図

Wall Shear Stressと内膜肥厚

動脈はSwirling Flowにより1.5Paを超えるWall Shear Stressを受けると血管内皮細胞は活性化せず、動脈硬化を促進するような物質を分泌しないため、内膜肥厚を抑制し、その結果アテローム形成を抑制します。
一方、0.5Pa以下になると内皮細胞は活性化し、動脈硬化を進展させるようないろいろな物質を分泌し始め、アテローム形成状態が促進されます。⁴（図3参照）

アテローム性動脈硬化が起こりやすい血管分岐点にみられる、局所的低wall shear stress(<4 dyne/c㎡)による血管内皮表現型の変化を示した図で、左はアテロームが起こりにくく、右はアテローム形成性の状態である。アテローム形成性状態は、局所的低wall shear stressによる単球の活性化、血小板の増加、血管収縮促進、内皮細胞や血管平滑筋の増殖亢進、細胞内活性酸素の分解抑制などによって引き起こされる。
NO：一酸化窒素、PGI2：プロスタグランジンI2、tPA：組織型プラスミノゲンアクチベータ

JAMA 1999 Dec 1;282(21):2035-42. doi: 10.1001/jama.282.21.2035.,
Copyright © (1999) American Medical Association. All rights reserved.

Wall Shear Stress
高い（＞1.5Pa）	内皮細胞活動を抑え、アテロームの形成を保護
低い（＜0.5Pa）	アテローム性動脈硬化／再狭窄に関与

1Pa=10 dyne/cm2

パスカル（Pa）とは
パスカル（Pascal）とは、圧力・応力の単位を指し、国際単位系（SI）における固有の名称と記号を持つ22個のSI組立単位の一つ。記号はPa

大腿膝窩動脈の形態学的特徴

大腿膝窩動脈は膝の曲げ伸ばしにより、血管の長さが変わります。
膝を曲げたとき、大腿膝窩動脈はそのらせん様の形状に合わせて縮みます。³（図4参照）

イメージ動画

図4イメージ図

膝を伸ばした状態（膝伸展）
血管はまっすぐ完全に伸びた状態にはならず、緩やかならせん様の形状になります。²

膝を曲げた状態（膝屈曲）
らせん様を形成することによって血管が短縮します。²

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Reference:

1. Caro CG et al.Proc R Soc Lond A 1996;452:185-197
2. Sullivan TM et al, Int J Vasc Med 2018: Article ID 9795174
3. Wensing PJW et al. J Anat 1995;186:133-139
4. JAMA 1999 Dec 1;282(21):2035-42. doi: 10.1001/jama.282.21.2035.,
   Copyright © (1999) American Medical Association. All rights reserved.
5. Republished with permission of The Royal Society,
   from Caro CG et al, J R Soc Interface 10: 20130578: permission conveyed through
   Copyright Clearance Center, Inc.

販売名： ＢｉｏＭｉｍｉｃｓ　３Dステントシステム
一般的名称： 血管用ステント
医療機器承認番号： 30100BZX00257000
特定保険医療材料区分： 133 血管内手術用カテーテル　(2) 末梢血管用ステントセット ①一般型